夫婦間で離婚の話になり、離婚届をもらったが、結局は離婚にならなかった場合、手元に作成済みの離婚届が残っている場合があります。
そして、かなり経った後、また離婚の問題になる、あるいは、離婚届を持っている方が離婚を希望するようになった場合、離婚届を出したいと思うかもしれません。
しかし、このような場合に離婚届を提出すると思わぬ落とし穴があります。
そこで、今回は、昔にもらっていた離婚届を提出してよいのかについてお話ししたいと思います。
離婚届を提出する場合の条件
離婚届を提出する場合、すなわち、離婚する場合、夫婦双方にその時点で離婚するという意思が必要です。
この離婚するという意思は籍を抜くという意思で足り、別居など実質的にも離婚することまでは求められませんが、少なくとも離婚する意思は必要になります。
したがって、かなり前に離婚すると考えていても、現段階で双方が離婚するとの意思がなければ離婚はできません。
離婚無効になる可能性
しかし、離婚届は形式が整っていれば受理されてしまうでしょう。
このような場合に受理された際には、離婚無効の裁判などで離婚を取り消すことになります。
これは離婚届を出した方にも負担が生じます。
したがって、勝手に離婚届を出すことは避け、手元の離婚届を提出する場合でも、相手方に離婚意思があることは確認しましょう(親権が問題になる場合には、親権者指定の意思も含みます。)。
刑事罰にもなる可能性
また、勝手に離婚届を出すと、電磁的公正証書原本不実記録罪など、犯罪になってしまう可能性もあり、刑罰を受ける可能性がありますので、離婚意思の確認は大変重要です。
離婚届が残った時の対処法
離婚届を作成したが、離婚せず、離婚届が残ってしまった場合には、離婚届を破棄するようにしましょう。
破棄ができない、または、破棄が確認できない場合には、役所に離婚届の不受理届出を行っておくと安全です。