再婚や認知などがあり,算定表を利用できない場合,標準的算定方式といわれる計算式を用いて算定することがあります。
標準的算定方式の内容
標準的算定方式は,具体的には,
①まず権利者と義務者の基礎収入を算出します。基礎収入というのは,年間収入に一定の係数(38%~61%,高収入なほど割合は高く,自営業の方が割合は高い。)をかけて算出されるものです。
②次に権利者に割り振られる婚姻費用や養育費を算出します。
ここでは,①で出した権利者の基礎収入と義務者の基礎収入を足して,そこに
権利者側の指数の合計/(権利者側と義務者側の指数の合計)
という割合を書けます。
指数というのは,生活費指数というもので,大人1人を100とみます。子供の場合,14歳までは62(以前は55),15歳以上は85(以前は90)とみます。
ですので,例えば,別居後,妻が16歳の子と12歳の子を養育し,夫が単身で生活している場合,その割合は
100+85+62/100+85+62+100
になります。
なお,離婚後の養育費の場合,義務者と権利者は他人扱いになりますので,婚姻費用とことなり,基礎収入の合計は出しません。ですので,
義務者の基礎収入×権利者が養育する子の指数合計/(義務者の指数+子の指数合計)
となります。
また,再婚や認知,養子縁組などで扶養者が増えた場合,上記の子の指数合計がその人数分増えますし,再婚相手も分母の指数に加えます。もっとも再婚相手の指数は,100ではなく,62であったり,それよりも減ったり,場合によっては0の場合もあります(再婚相手の収入によります。)。
③そして,婚姻費用の場合のみ,②で出た金額から権利者の基礎収入(①で算出したもの)を引きます。
そして出てきた金額が婚姻費用となります(養育費では権利者の基礎収入を引くことはありません。)。
標準算定方式の利用方法
前回お話ししたとおり,一般的には裁判所の算定表を用いて,おおよその相場を知ることになりますが,この算定表も先ほどの計算式をベースに作られています。
ただ,再婚や養子縁組,婚外子の認知などがあると,算定表は全く使えなくなります。
そこで,上記の算定式にさかのぼって算定することになります。
もっとも,この方式も一つの方式であって絶対ではありません。
例えば,介護費用など特別な費用がある場合にはどうなるのか,どこまでが収入と考えられるか,など単純化できない問題がある場合,そのまま当てはめると公正な結論になりません。
そこで,上記の算定方式も一つの参考として,最終的には,話し合いや調停の場合は,権利者及び義務者が,審判の場合は裁判所が,決定することになります。