葬儀費用の準備について
ご家族が亡くなった場合,葬儀など大きな費用がかかるものがありますので,亡くなったご家族の財産を管理していた人は,その費用のために,亡くなった直後または直前に,亡くなったご家族の預貯金を払い戻しておくことがあります。
この場合,生前に本人からの委託を受けて生前に払い戻して保管する,または,死後に相続人全員で合意して払い戻すなどの場合には,その後トラブルは発生しづらいですが,預貯金の管理を事実上管理していた人が勝手に亡くなったご家族の名前で払い戻してしまうなどの場合は,トラブルが発生する可能性があります。
この点,民法の改正で,上限(150万円)はありますが,遺産分割前でも,自己の相続分の3分の1を払い戻せるようになりました。
ですので,相続人の間で合意が整わないようであれば,これを利用してとりあえずの資金を準備する方法もあります。
なお,払い戻した金員は,遺産分割協議の際に対象財産として含まれてきますので,あくまで葬儀費用などに利用したのであれば,葬儀費用について相続人全員で負担することにするなど合意を行うことをおすすめします。
口座の凍結
相続財産の保全という意味で口座を凍結することも重要です。
銀行などは,名義人の死亡が確認できれば,口座を凍結しますが,死亡を知らなければこれまで同様に払い戻しなどができてしまいます。
ですので,葬儀費用などの目途が立っている場合や,凍結後,上記の遺産分割協議前の払い戻しを行うことで足りる場合には,口座を凍結しましょう。
遺産分割などは急ぐ必要はない
これらの話とは違って,遺産分割を3か月以内に行う必要があると勘違いして,早急に決めようとしてしまう場合があります。
3か月というのは相続放棄または限定承認の場合で,遺産分割に期限はありません。
また,10か月という話をする方もいらっしゃいますが,10か月は相続税の申告の期限です。
一般の方の場合,相続税がかからない場合が多いので心配はいりませんが,遺産が多額である場合には,遺産分割協議が終了していなくても,とりあえず法定相続分で申告をし,遺産分割協議後に修正申告する方が安全です。
(ご家族が亡くなったら急いですべきこと⓷につづく)