配偶者の不貞行為が発覚した場合,あまりのショックから感情的になってしまい,冷静な対応ができなかったり,対応に失敗して解決がうまくいかなくなってしまったりするケースもあります。今回はそのような対応に陥らないようにするためにはどうすればよいのか,後日の法的処理を念頭に置いてお話ししたいと思います。

 

不貞行為の事実確認及び証拠収集

 出発点として,不貞行為があったのか,事実を確認する必要があります。

 配偶者との話で発覚するなど,配偶者が不貞行為を認めている場合は,不貞の時期や不貞相手の氏名・連絡先等詳しい情報をできる限り聞き出すことになります。この場合,可能であれば,日付及び配偶者の署名押印が入った書類で,不貞行為を認める旨及びその内容を書いた書類を作成してもらえるとよいですが,なかなか難しい場合が多いので,例えば会話を録音しておくとか,動画を撮っておくとか,何らかの痕跡が残るようにしておきます。場合によってはLINEやメールでやりとりをし,そのデータを保存しておくという方法もあります。

 他方で,配偶者の知らないところで発覚した場合,例えば,ホテルから出てくるところを目撃したとか,配偶者と不貞相手の写真を見つけたといった場合には,不貞の事実を追加調査することになります。お金に余裕があれば,探偵や興信所などを利用するのも一つの方法ですが,費用をあまりかけられない場合には,配偶者の行動記録を日記につけておいたり,家計のうちのクレジットカードの明細をしっかり確認したりするなどして,できる限り証拠を保存しておきましょう。場合によっては,支障がない範囲で周囲から情報を集めることが有用なこともあります。なお,配偶者の同意なく配偶者のIDやパスワードを使って配偶者のSNS等の情報を取得すると,不正アクセス禁止法違反になる可能性がありますので,注意してください。

 

方針を検討する

 以上の活動で不貞行為の事実が確認できたら,配偶者との離婚を考えるかを検討します。

 不貞相手への請求については,離婚するか否かで請求金額などが変わってきますので,まず配偶者との離婚をするかどうかを検討しましょう。

 なお,不貞行為が怪しまれても,事実を確認できるところまでいかないことがあります。この場合でも,離婚を考えたいのかによって,今後の行動が変わりますので,とりあえず調査した結果などを前提として,離婚があり得るのか考えます。

 方針を検討するに際して,経済的な問題や手続的な問題が関係してくる場合には,この段階で弁護士に相談することも検討しましょう。

 ただし,離婚するとした場合,離婚は一般に考えられているよりも精神的にも,労力的にも,経済的にもかなりの負担がかかりますので,十分に考えてください。端的に嫌だからというような気持ちで即断してしまうと,実際に動き始めてから,生活が回らなくなってしまうこともありますので,慎重に判断しましょう。

 

 次回は調査結果や証拠状況,方針ごとに対応をお話しししたいと思います。

(なお,今回のお話しは一般論ですので,すべての場合に当てはまるわけではありません。この点はご注意ください。)

 

(配偶者の不貞行為に対する対処法②につづく)

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