ADRというのは裁判外紛争解決手続のことをいいます。
当事者間では話し合いで解決できない場合に、裁判などの強制的な手段をせずに解決する方法として、第三者を間に入れて話し合う方法があります。
その代表例がADRです。
裁判所では調停という手続きが準備されていますが、裁判所以外の各機関においてADRを運営している場合があります。
今回はADRについてご紹介したいと思います。
弁護士会のADR
まず、弁護士が所属している各弁護士会(各都道府県に1つはあります。)において、ADRの窓口を設置していることがあります。
弁護士会で行うADRは各弁護士会によって名称が異なりますが、中身は同じで、間に弁護士が入って話し合う制度です。
間に入る弁護士はあくまで公平中立に入りますので、どちらかが代理人として就任する場合とは異なります。
事件の種類は問いません。
調停と違って、柔軟かつスピーディーに進むことが多いです。
交通事故関係のADR
交通事故の事案の場合、公益財団法人交通事故紛争処理センターや公益財団法人日弁連交通事故相談センターといったところでADRを行っています。
相談窓口なども設置されているため、まずは相談をし、ADRに進むことも多いです。
建築紛争関係のADR
建設工事紛争審査会(国や都道府県に設置)においてADRを行っています。
金融関係のADR
金融機関との間の紛争などの場合、指定紛争解決機関においてADRを実施しています。
その他のADR
そのほかにも、様々な機関においてADRを設置している場合があります。
ADRの有用性
ADRはあくまで話し合いの手続きですので、裁判と異なり柔軟な解決が可能です。
また、機関によっては、専門家が間に入りますので、専門知識を前提とした話し合いが可能になるメリットもあります。
また、費用も比較的安いことも多いです。
ADRのデメリット
ADRはあくまで話し合いですので、強制力はありません。
ADRはうまく利用すれば紛争解決が早くなったり、妥当な解決を図ることが可能になったりします。
話し合いでらちが明かない場合、ADRの利用を視野に入れても良いと思います。