法律相談などにおいて,急ぎのご相談を希望される場合があります。
中には法的にも緊急性が高いものもありますが,法的には緊急性がなくご本人があせってしまっているだけの場合も多くあります。
弁護士としては,できる限り相談者の意向をくんで相談対応いたしますが,それほどあせる必要がないことを知っていれば,不安は少なくなるのにという場合もあります。
そこで,今回は法的に急がなければいけないものとそうでないもののお話をしたいと思います。
緊急なもの① 時効間近のもの
緊急なものの代表として,もうすぐ時効(または除斥期間)が完成してしまうものがあります。
このような場合,期限までに法的手続きまたは時効を伸ばす手続きを早急にとらなければならないため,かなり緊急性が高いものになります。
もっとも,時効は数年単位の話ですので,何か問題が起きたときに早めにご相談いただければ,緊急性はなくなります。
緊急なもの② 相手方が財産隠しをしてしまいそうなもの
相手方が財産を隠してしまうことがある場合,保全という手続きを早急に行なう必要があります。
保全とは,裁判前にとりあえず相手の財産を仮に押さえておくという手続きです。
これを行なわずに裁判をしたことで,最終的には回収できなかったというのでは本末転倒ですので,このような案件は緊急性が高いものになります。
緊急なもの③ 支払督促や訴状など裁判所から通知が来ているもの
裁判所から通知が来る支払督促や訴訟は,放っておくとこちらに不利な結果で確定してしまい,あとで争えなくなります。
そのようなことがないように,各種期限までにしっかり対応をする必要があります。
このような場合は,緊急性が高いといえます。
緊急とはいえないもの① 相手方が回答期限を定めてきている場合
相手方が期限を決めてきても,こちらが合意をしていない限り,その期限に縛られる必要はないため,心理的には緊急性があっても,法的にはそれほどの緊急性はありません。
気になる場合は,検討中ですというようなことを期限内に回答すれば,誠実には対応していることにはなりますので,上記の他の場合と比較して緊急性はないでしょう。
緊急とはいえないもの② 相手方の請求はあるが裁判所からの通知はない
これもまだ裁判等の手続きにはかかっていないので,仰々しい封書できていても,上記の緊急なものと比べて緊急性はありません。
※緊急性はあるが,弁護士の相談では解決できないもの
例えば相手方が自宅にすぐに来ると言っているなど,法的手続きでは対処できないものに関しては,弁護士に相談しても解決しません。ただし,緊急性は高いです。このような場合は警察に相談しましょう。