相続が発生して遺産分割の手続きなどを行うにあたり,相続人間で話し合いをすることが必要になります。
例えば,おうちを代々守っていた方がお一人いて,その方が全てを相続することに,他の相続人全員が納得しているなど,特に争いがない場合は問題ありません。
他方,相続人のうち,一人でも反対する方がいると,遺産分割協議は成立しません。
そういった場合,その後の話し合いをスムーズに進めるために,気をつけるべきことがあります。
遺産の調査を優先させる
相続をする場合には,相続人や遺産を確定させることが必要になります。
相続人に関しては,一般的にはあまり争いにはなりませんが,遺産になにがあるかについては,時折争いになります。
この場合,遺産の管理を行っていた相続人に,資料などを求めても対応してくれないこともあります。
そこで,早い段階で,自身で遺産の調査を行うことが重要になります。
相続人であれば,調査自体は自分で行うことができます。調査に他の相続人の同意は要りません。
過去の事実にこだわりすぎない
相続において円滑な協議の妨げになるのは,過去の事実の言い合いです。
相続になると,これまでどういうことをしたとか,誰が何をしなかったなど,過去の事実を言い合う結果になることがあります。
そうすると,どの事実があったかなかったか,その事実をどう評価すべきかについて決定できる方がいないため,話し合いが全く進まなくなり,また,感情も害してしまうので,協議が成立する可能性がかなり下がってしまいます。
ですので,こういう話は少し出すにしても,他の相続人の話も聞くなどして,あまりこだわらないようにするのが良いでしょう。
現実に合わせる
また,遺産分割の際,貸金の精算などが行われることもありますが,支払能力など,現実に合わせる必要があります。
現実離れした合意案は,合意が成立しない可能性が高いですし,仮に成立しても実現可能性が低く,絵に描いたもちになってしまいます。
そこで,現実的に可能かという観点から,案を策定することも大切です。
今回は,相続人同士が話し合う際に,どこに注意すれば良いかについてお話ししました。
できれば相続人間の争いは避けたいでしょうから,参考になさっていただければ幸いです。