弁護士の法律相談にあたり,何も資料を持参しない方がいらっしゃいますが,資料や証拠の持参があるのとないのとでは,かなりアドバイスの正確性が異なります。
今回は,どういった点でこの違いが出るのかについてお話ししたいと思います。
最終的な立証が可能かで手続きが異なる
まず,最終的に証明ができそうかどうかで,手続きの選択が異なってくることがあります。
特に裁判(訴訟)を選ぶことができるかという点は,証拠や資料の内容などによってかなり左右されます。
というのも,裁判では,基本的には請求する側に立証責任があり,証拠が出せるかによって勝訴の可能性が全く異なるからです。
裁判が選べない場合には,調停など話し合いによる手続きを行うことになり,アドバイスの方向がかなり異なってきます。
記憶に頼るのは情報が不正確
人間の記憶は誰しも機械のような正確性を持っていません。ですので,記憶があるといっても,本当にそのような記載があるかなどは分かりません。
また,ご本人が無意味と考えていた記載が,法的には別の意味合いを持っていて,証明に関してかなりの影響を及ぼすこともあります。
ですので,弁護士が実際に証拠を確認しないと,どの手続きが良いのかなど,アドバイスの正確性を担保できない場合があります。
記載の内容や文字なども情報になる
例えば,手書きなどの場合,その筆跡自体が情報の一つになります。
借用証一つをとってみても,蓋を開ければ偽造されたものであるということもあり,この点,しっかりとした確認が必要になります。
また,ものによっては原本が存在せず,コピーしかない場合があるなど,証拠の存在を確認しておく必要性が大きいです。
同様の書類が複数ある場合も
同じような趣旨の書類が複数ある場合,その相互の関係も問題になります。
相談者としては,同じ内容なので,どれでも良いだろうと思っていても,複数の書面があることが不自然ということもあり,経緯などもしっかり確認する必要があります。
以上のとおり,証拠を確認することには様々な意味合いがあります。
法律相談に行く際には,必ず証拠や資料を持参するようにしましょう。