話し合いで解決する場合でも,合意の内容が本当に履行されるのか,不安になることがあります。

 このような不安を解消するためには,しっかりと履行を確保し,かつ,万が一履行されない場合には,差押えなどができるようにしておく必要があります。

 そこで,今回は,合意の履行を確保する方法(形式)を説明したいと思います。

 

強制執行認諾文言付き公正証書

 まず,比較的簡単なのは,強制執行認諾文言の記載のある公正証書を作成することです。

 これは,話し合いの当事者双方で,公証役場に行き,公証人に作成してもらう書面で,強制執行認諾文言を入れておけば,履行がない場合に,裁判などを経なくても強制執行ができるようになります。

 全ての合意が可能なものではないですが,裁判所の手続を経ないで作成できる点で,大変便利です。

 

調停手続

 裁判所の手続で,調停というものも利用できます。

 これは完全に合意する前に,合意の調整の話し合いを調停で行い,調停で合意を行うことで,調停調書を作成してもらえる手続です。

 調停調書は,判決と同じ効力を持っていますので,万が一の場合に,差し押さえなども可能になります。

 

訴え提起前の和解

 当事者間の話し合いが民事紛争に関するもので,訴訟前に和解をする手続として,訴え提起前の和解という裁判所の手続もあります。

 この手続においても,和解調書という差し押さえなどもできる書類が作成されますので,履行の確保が期待できます。

 

なお,いずれの手段を使うにせよ,当事者本人の状況が変わり,資産などがなくなってしまえば,差し押さえなどはできません。

このようなリスクに関しては,抵当権などの担保を設定したり,保証人をつけたり等,条件面でも工夫をする必要があります。

どこまで履行があやしいかにもよりますが,合意前には履行がどこまで確実かも視野に入れて検討しましょう。

 

 

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