裁判のドラマなどで証人が証言をすることで,裁判の結論に影響を与える場面があります。

 特に刑事ドラマなどではそのようなドラマティックな展開を描くことも多いです。

 他方で,一般に,契約書の有無の方が証言よりも力が強そうなイメージもあるかと思います。

 今回は民事裁判における証言の効力についてお話ししたいと思います(刑事裁判では民事裁判とは別の原理原則が働くため,少し話が違ってきます。今回は民事裁判に絞ってお話しします。)。

証言も証拠になる

 まず前提として,証言も契約書などと同様,一つの証拠となります。

 証言を証拠で提出する場合,原則として,裁判所で証人尋問という手続き(当事者や裁判所が証人に質問し,証人に答えてもらう形で証拠とする手続き)を経る必要があります。

 そして,証人尋問で出た証人の発言が証拠となるのです。

 

証言は証人の属性や内容によって効力が異なる

 では,証言はどのくらいの効力があるものなのでしょうか。

 この点については,証人の属性や証言内容によって,かなり違いがあります。

 まず,証人の属性ですが,民事裁判の場合,原告と被告で事実を争うことになりますので,原告や被告と近しい人の場合,近ければ近いほど,証言の信用性が薄くなっていくため,効力が小さくなっていくということがあります。

 また,証言してもらう事実について,しっかりと目撃,経験していたかという点や,記憶に残っている度合い(残っていてもおかしくない度合い)などによっても効力は異なってきます。

 例えば,交通事故において,目撃者の位置が近くなのか遠くなのかでも変わってきますし,事故の日にちが最近なのか1年も前なのかでその証言の信用性や効力は変わってきます。

 次に証言の内容によっても効力が変わってきます。

 はっきりとある,または,ないと答えている場合と,かもしれないという場合では効力は違ってくるでしょうし,矛盾がないかなどでも変わってきます。

 

書面が重要になる理由

 つまり,証言は証人や発言内容などで変わってきてしまうので,ある意味不安定であるといわざるを得ません。

 他方,書面は動かぬ証拠となり得ます。

 そういった意味で書面が証拠として重要になってきます。  証人がいることは意味はありますが,そこだけに頼ってしまうと心許ない場合もあるのです。

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