紛争を解決した場合や交渉が成立した場合など、相手方との合意内容は書面にしておいた方が良いところです。

 このとき、当事者同士で合意内容を記載した書面に調印等することで、その後の紛争の蒸し返しを防ぐなどの効果が期待できるため、合意書などを作成することは大変重要です。

 しかし、公正証書という書類を作成した方がよりよい場合もあります。

 今回は通常の合意書と公正証書の違いについてお話ししたいと思います。

 

通常の合意書などの効果

 通常の合意書は、合意内容を記載して双方で調印等をすれば、合意が成立したこと及び合意の内容を明確にすることができます。

 また、後日争いが起きた場合には、裁判などで証拠となり、合意の存在及び内容を容易に証明することができるようになります。

 すなわち、紛争を未然に防いだり、紛争が発生した場合に証拠となることで解決を容易にする効果があります。

 もっとも、裁判などを経なければ、合意の内容を強制(強制執行などで実現すること)することはできません。

 

公正証書の場合

 公正証書は公証役場で公証人が作成する書面で、当事者双方が公証役場に出向くなどして、公証人に作成してもらう書面をいいます。

 公正証書も上記の合意書などと同じ効力があることは当然ですが、それに加え、強制執行認諾文言という文言を記載することで、裁判などを経なくても強制執行ができるようになります。

 また、通常の合意書などは紛失・破損のリスクがありますが、公正証書の場合、公証役場に原本が残りますので、紛失・破損のリスクがないといえます。

 

公正証書のデメリット

 以上のとおり、法的な効果では公正証書の方が通常の合意書よりも効果が高いといえますが、デメリットとして、原則として当事者双方が公証役場に出向くなどの手続きが必要になること及び費用がある程度かかることが挙げられます。

 また、作成までに準備も必要になり時間がかかることもあります。

 

双方の利用方法

 逆に、通常の合意書は費用がほとんどかからず、時間もかからず、当事者が郵送などを利用して調印などをしてもよいという点のメリットがあります。

 そこで、例えば、急ぎの場面などでは通常の合意書を作成し、大切な場面では公正証書を作成するという利用方法や、公正証書利用までの間のつなぎとして通常の合意書を作成しておくという利用方法もあります。

 判断や作成方法が難しい場合には、弁護士に相談しましょう。

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