ご相談の中ですぐに問題を解決したいというお気持ちが強い場合があります。

 離婚や相続、借金問題、近隣問題など、問題が発生している状況はとてもストレスがかかりますので、少しでも早く解決したいという気持ちはわかります。

 しかし、現実には問題が早く解決することはほとんどなく、また、早く解決した場合のデメリットもあります。

 そこで、今回は、問題解決の早さと早期解決のデメリットをお話ししたいと思います。

 

問題解決には時間がかかる

 問題解決を図る場合、特に弁護士に依頼をする場合、人によっては、極端にいえば、明日には解決しているという感覚でおられる人もいます。

 民事的な問題の解決方法は、おおむね任意の解決(相手方との合意による解決)と強制的解決(裁判などによる解決)の2種類があります。

 強制的解決は、裁判などを経る必要がありますので、事件の種類にもよりますが、最短でも数か月は解決までにかかります。事案によっては、数年かかる場合もあります。

 したがって、早期の解決を行う場合には、任意の解決、すなわち、当事者の合意による解決を行うほかありません(なお、仮差押えなど一定の手続きは数日で発令されることはありますが、名前のとおり仮のものですので、終局的な強制的解決は時間がかかります。)。

 そして、紛争がある場合、当事者間では、意見や認識が食い違っていることがほとんどです。そうすると、双方で合意を行うためには、食い違いを調整する必要がありますので、時間がかかるのです(弁護士がついたとしても食い違いが解消するわけではありません。弁護士は法律という道具を用いて少しずつ食い違いを調整する場合もありますが、相手方の納得が必要ですので、すぐに食い違いが解消することはないと考えた方が良いでしょう。)。

 

早期解決のデメリット

 とはいえ、お悩みの方からすれば少しでも早く解決したいと考えるでしょう。

 この場合、解決は時間がかかることを前提に、自分の状況を変えることの方が重要な場合も多いです(例えば、離婚ではなく別居を先行するなど)。

 というのも、早期解決を極端に図ることは無理があることですので、無理をとおさなければならなくなります。

 そうすると、相手方との心理的なみぞが深くなり、後日のトラブルを生じる可能性が高くなることもありますし、相手がなかなか応じない場合、こちらが極端に条件など大きく譲歩する必要も出てきます。

 すなわち、早期解決ばかりに頭がいってしまうと、大切なことが守られなくなることがあるのです。

 これは大変大きなデメリットです。

 急がば回れという言葉もあるように、焦ることは決していい結果を生み出しません。弁護士からすぐに解決できるわけではないと言われたとしても焦らずに冷静に行動するようにしましょう。

 

 

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