遺産分割を行う場合,相続人全員で遺産分割協議を成立させる必要があります。
亡くなられたのが父母のいずれかで,相続人が配偶者と子という場合には,一般的には連絡がつかないということもないでしょうから,問題は少ないと思います。
しかし,遺産分割すべき遺産が,祖父母名義や曾祖父母名義である場合など,相続人が多数いる場合,全く音信がない相続人がいる場合もあり得ます。
このような場合,どのようにして相続人を探し,遺産分割協議を行えば良いのでしょうか。
相続人の探し方
まず,相続人の出生から死亡までの戸籍,除籍及び原戸籍を取得する必要があります。
厳密には他人の戸籍等になりますので,取得できないのではないかという心配をされる方がいらっしゃるかもしれませんが,相続の場合は,その旨を告げた上で手続きをすれば取得できます。
ただ,戸籍に記載されている本籍は住所ではありませんので,戸籍等が収集できても連絡を取ることは難しい場合もあります。
戸籍等を取得した後連絡を取るには
戸籍等を取得したら,相続人が誰かをまず確定します。
最近はインターネットなどで,どのような立場の方が相続人になるか情報を取得することは比較的容易ですが,難しい場合には,弁護士などに相談するのも一つの方法です。
相続人が確定したら,その方に連絡を取れるか検討します。
年賀状など元々連絡が取れる方は問題ないですが,それ以外でも,連絡が取れる親戚に連絡先を聞いたり,代わりに連絡を取ってもらうなどの方法もあります。
そのような方法も難しい場合には,連絡が取れない相続人の住民票(戸籍附票)を取得することになります。
これも他人の住所という個人情報の取得になりますので,原則は取得できませんが,遺産分割を行うために必要である旨及びその資料等も示せば取得することができます。
もっとも,近時は個人情報保護が重要視されていますので,知識がほとんどない状態で手続きをしようとしても難しい場合も多いです。
そのように現実的に難しい場合には,弁護士への依頼も検討することになります。
弁護士に依頼すると
弁護士に依頼すると,弁護士の方で上記の戸籍等や住民票等を取得してくれます。
また,相手方への連絡や交渉も弁護士の方で行い,少なくとも遺産の名義変更等ができる状態にはしてくれます(名義変更までしてくれるかは,事務所ごとに異なると思います。)。
交渉が難航した場合には,調停などの手続きをすることになりますが,これも難しい場合,弁護士に依頼して進めることもできます。
万が一相続人が行方不明の場合,不在者管理人選任申立てなどの手続きが必要になりますが,このような手続きはなかなかご本人では難しく,弁護士の助けが必要になるかもしれません。
上手な弁護士利用法
他方,弁護士を依頼すると費用がかかるのは事実です。
ですので,もしできるだけ費用を抑えたい場合には,都度難しい場合に弁護士に相談はして進め,可能ならそのままご本人が難しい場合に難しい部分を弁護士に依頼するというのも一つです(弁護士に相談しておけば,この点についてもアドバイスがもらえます。)。
遺産分割は複雑な部分もありますので,弁護士への相談は気軽に行った方が良いと思います。