弁護士に相談する場合は、法律相談といって、事実を法律にあてはめた場合にどのような解決方法があるかという観点から、解決を図るものになっています。

 法律相談においては、通常は常識的な解決と一致することも多いのですが、場合によっては、常識的な考えとずれることもあります。

 このような場合、相談者としては納得しがたいことも出てきますが、常識にとらわれてしまうと適切な解決が遠のいてしまうことも多くあります。

 そこで、今回は、このような場合に適切な解決へ至るための視点について、法律、道徳、常識の違いという観点からお話ししたいと思います。

 

法律と道徳の違い

 法律も道徳も世の中の一定のルールという点で共通しますが、法律は国家権力(主に裁判所)による強制力が伴うところが異なります。

 法律と道徳は共通する価値観が多くあり、その結論も共通することが多いですが(例えば、人を傷つけることは法律にも反しますし、道徳にも反します。)、道徳を必ずしも法律で実現できるわけではありません(例えば、人にやさしくすることは道徳的ですが、法律で強制することはできません。)。

 

法律と常識の違い

 他方で常識というものは法律と共通する場合もありますが、道徳ほど一般性がなく、共通しない場合も多くあります。

 常識は道徳と異なり、時代や世代、地域、場合によっては個々人によって異なる場合があります(例えば、他人の家を訪ねること一つをとってみても、昔はそれほど過敏ではなく、単純に訪ねて行っても非常識ではなく、むしろ何かの折には家を訪ねることが常識でしたが、今ではいきなり家を訪ねることは非常識と感じる方も多くいると思います。)。

 そうすると、日本全体の共通事項として定められる法律は、一定の地域などによっては非常識ということもあり得ますし、時代の変化によって常識から外れることもあり得ます。

 

法律による解決

 時代の変化による常識の変遷などは、法律によっても解釈に取り込むことで、常識にあった解決が図られることがあります。

 ただ、特定の地域での常識や、個人的には常識だと思っていても常識とまではいえないものについては、法律の解釈に取り込むことは難しく、常識にこだわると、妥当な解決が図れなくなってしまいます。

 そこで、このような場合には、常識に反することについて弁護士に相談し、法解釈に取り込むことが可能か検討し、難しい場合には現実的な視点も取り込んで解決の方向性を模索する方が得策です。

 常識という観点とは別に現実的な視点を取り入れることが、このような場合には解決の道筋を見出しやすくなると思います。

 

 

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