相続人が確定できたら,次に遺言の有無の調査と遺産の調査を行うことになります。

 遺言の調査や遺産の調査に関しては,自らが相続人でなければできませんので,相続人の確定が先行する作業になります。

 もっとも,遺言の調査や遺産の調査を行うだけであれば,自らが相続人であることが証明できれば良いので,必ずしも全ての相続人が明らかになっている必要はありません。

 ですので,被相続人の相続人に当たることが戸籍などで証明できる段階になったら,他の相続人は誰かの調査と併行して,遺言の調査や遺産の調査が可能です。

 

遺言の有無やその内容を調査する

 遺言がある場合,相続人による遺産分割協議よりも遺言が優先しますので,相続の手続きの前に遺言の有無や内容を確認する必要があります。

 遺言には,主に,自筆による遺言と公正証書による遺言があります。

 自筆による遺言は,現在では法務局に保管制度ができましたので,法務局にその有無などを確認することが必要になりますが,一般的にはまだまだ利用している方は少ないかと思います。ですので,一般的には,被相続人のご自宅を探す,知人に遺言書を預かっていないか確認するなどの作業が必要になります。

 公正証書による遺言は,公証役場に保管されていますので,最寄りの公証役場などで遺言の有無などを確認することになります。

 なお,法務局や公証役場で調査する場合には,自らが相続人であることを証明する資料(戸籍など)を持参しましょう。

 

遺産を調査する

 遺産の調査は様々な手続きが必要になります。

 遺産に当たるものは多種多様ですので,それぞれに手続きが必要になるのです。

 例えば,不動産であれば,被相続人のお住まいの自治体で名寄帳などを取得し,被相続人名義の不動産の有無を確認します。他の自治体に不動産を所有している場合には,他の自治体に問い合わせる必要があります。どこに不動産を所有しているか不明な場合には,春ころに送られてくる固定資産税の通知書を確認することで判明することもあります。

 預貯金などは,各金融機関に問い合わせなどを行う必要があります。被相続人がどこの金融機関と取引があるかわかる場合には,その金融機関に問い合わせなどを行いますが,場合によっては,被相続人の近くにある金融機関に網羅的に問い合わせを行う必要がある場合もあります。

 生命保険は遺産には含まれないことが多いですが,受取人に指定されている場合もありますし,受取人が被相続人になってしまっている場合もあり得ますので,各保険会社に問い合わせをすることになります。

 年金などで受け取れるものがある場合には,年金事務所などで手続をすることになります。

 なお,債務も遺産になりますので,金融機関や自治体などで未払いのものがないか確認することも必要になります。債務に関してはわかりにくいですが,被相続人の自宅で借用証の控えなどがないか探す,郵便物を確認するなどの方法でも判明することもあります。

 相続人の確定,遺言の有無,遺産の調査を終えた後,具体的な遺産の分け方を決めることになります。

 

(基本的な相続手続の流れ(相続が発生した後にすべきこと)➂に続く)

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