一般に5年や10年など,何らの動きがなく長期間が経過した権利が時効にかかっていることがあります。
つまり消滅時効で支払う義務がなくなる可能性がある状態になっているということです。
大昔の権利関係について,急に請求がくると,時効ではないのかなと考えることは当然ですが,他方で,請求してきているのだから時効ではないだろうと考えて支払ってしまう方もいらっしゃると思います。
そこで,今回は時効にかかっているような権利が請求されることがあるのかについてお話ししたいと思います。
消滅時効の要件
まず,一般の話として,消滅時効によって権利義務が消えるには,➀長期間の経過(それぞれの権利ごとに具体的に期間が設定してあります。)及び➁時効援用の意思表示(時効を使うという意思を表示すること)の2つの条件を満たすことが必要です。
2つとも満たせば,法的に権利義務が消滅しますし,片方でも欠けてしまうと,消滅時効により権利義務が消滅する効果は発生しません。
期間の経過をしても請求は可能
ということは,➁時効援用の意思表示がない限り,長期間が経過しても法的には権利義務は消えていないことになります。
したがって,➁時効援用の意思表示がない限り,相手方が請求してくることは違法ではありません。
時効援用の意思表示が重要
ですので,時効援用の意思表示をすることはかなり重要です。
特に,知らずに支払ってしまうと,場合により後日時効だと言えなくなる債務承認の効果が出てしまうなど,時効援用の意思表示を行わない不利益はかなり大きいものです。
時効援用の意思表示の方法
では,時効援用の意思表示はどのようにすれば良いのでしょうか。
時効援用の意思表示には,特に形式の定めはありません。
したがって,口頭でも書面でも成立します。
しかしながら,後日争いにならないようにするためには,証拠を残す必要がありますので,可能であれば,配達証明付き内容証明郵便で,時効を援用する旨の文書を送付した方が無難です。