お金の貸し借りをする場合に、何も作成しないと、後日トラブルが発生する可能性が高くなります。
特に借りた方が借りた覚えがないなどといった場合、貸した方は貸し借りを証明しなければならず、その場合には、お金の動きのみならず、返還する約束も証明しなければなりません。
ですので、お金の貸し借りの際には、できる限り借用証などの書面を作成した方が良いということになりますが、借用証を作成するとしても内容などによっては、トラブルの可能性が消えないことも出てきます。
そこで今回はトラブルを避ける借用証の作成方法についてお話ししたいと思います。
借用証で記載すべき要素
まず、借用証が借用証として成り立つためには、いくつか記載しなければならない要素があります。
借用の金額、返還約束、日付、氏名、押印などです。
いずれかが欠けてしまうと、借用証として成立しないおそれが出てきます。
例えば、借りた金額が書いていなければいくら返してもらえるのかわかりませんし、返還約束がなければもらったものだといわれるおそれがあります。日付がなければ昔のこととして時効の主張がなされることもあり得ますし、氏名や押印がなければ誰との間のものか分かりません。
借用証に記載しておいた方がよいこと
また、必ずしも記載をしなければならないわけではないものの、記載した方が明らかにトラブルの回避などにつながる事項もあります。
例えば、返済方法(時期、回数、1回あたりの返済金額)や遅れた場合の対処などです。
市販の借用証の場合、このような欄も設けられていますが、そのようなことを決めておらず記載しない場合もあります。
そうなると、返済期限などが不明になり、場合によっては期限の定めのない債務として、当事者の想定とは異なる時期の返済義務が発生することになる可能性があります。
遅れた場合なども、期限の利益の喪失条項(例えば返済が2回遅れた場合には一括返済になるなど)を入れていない場合、裁判などをしてもまだ期限の来ていない部分は請求することが難しくなることもあり得ます。
ですので、できる限りこれらの条項も入れておいた方がよいでしょう。
絶対に避けるべき借用証の作り方
貸主と借主が一定の関係性にあると、借用証の作成をはばかって、別の形での書類を作成してしまうことがあります。
例えば、本当はお金の貸し借りなのに、売買契約書などを作成してしまうなどです。
このような場合、当事者同士で解決できれば良いですが、万が一裁判などになってしまった場合、貸し借りの証明ができなくなります(あくまで外形上の契約、例えば売買契約であったとされてしまう可能性が高くなります。)。
したがって、このような借用証(外形上借用証にはならないもの)を作成することは避けましょう。