借金など支払いが難しくなると、いわゆる自己破産(破産申立て)を行って、債務の支払義務を免れてリスタートしたいという場合があります。
自己破産というと、全ての債務が消えそうなイメージですが、実は全ての債務が消えるわけではありません。
そこで今回は自己破産しても消えない債務についてお話ししたいと思います。
非免責債権
破産をしても消えない(支払義務が残る)債権のことを非免責債権といいます。
非免責債権にあたるものはいかに支払いが難しくても支払わなければならないため、注意が必要です。
では、どのようなものがこの非免責債権になるのでしょうか。以下に代表的なものを紹介します。
租税等の請求権(税金の債務)
税金の支払義務については、破産しても免れることはできません。
税金は法律で支払義務が定められている、国民の三大義務ですので、免れられないことになっています。
税金の支払いについてどうしても支払いが難しくなった場合には、担当部署と話し、どのように滞納を解消するかなどを相談せざるを得ません。
破産者が悪意で加えた不法行為の請求権
破産者が悪意、すなわちわざと行った違法行為による損害賠償請求権は、破産をしても残ります。
わかりやすい例としては窃盗や横領などをして、盗んだお金を返還する義務などです。
なお、相手を殴ってケガをさせた場合の損害賠償請求権など、生命・身体に関するものは重大な不注意によるものも破産しても残る債務になります。
婚姻費用や養育費
別居中の夫婦の生活費の請求権や養育費なども非免責債権とされています。
ですので、養育費などを滞納してしまっても、破産で解決することはできません。
個人事業での給与等の債権
法人ではなく、個人で事業をしている場合の給与支払義務も破産で消すことはできません。
破産者が知りながら債権者名簿にのせなかった債権
わざと債権者にあげなかった債権も破産で免れることはできません。
以上のとおり、破産で解決できない債権がありますので、支払いが難しくなった場合には、破産すれば良いとは考えずに、一度弁護士にご相談ください。