借金や滞納した支払について、一度弁護士などに依頼して任意整理(支払える程度に分割の条件を緩くする内容で合意するなど)の手続きを行った場合に、その後の事情変更で支払が難しくなることがあります。
任意整理では、一般に、滞納になった場合のペナルティが設定されていることが多く、一括払いや遅延損害金という利息のようなものが付加されるなどの滞納時の条件が決まっています。
しかし、病気や失業など、様々な事情で任意整理において決めた合意の条件どおりに支払うことが困難になってしまうこともあり得ます。
そこで、今回は任意整理(分割払いの合意)後に支払えなくなってしまった場合の対処法をお話ししたいと思います。
破産申立や個人再生申立を行う
病気や失業など、支払が継続的に厳しくなってしまった場合には、任意整理以外の債務整理の手段(自己破産や個人再生)を行う方法があります。
破産申立や個人再生申立は裁判所での手続きで、法律に定められた手続きですので、一度任意整理をしたとしても、手続きを行うことが可能です。
ただし、もともと任意整理を選んだ理由に破産申立などができない事情があったなどの場合には、その事情を解消する必要がありますので、慎重に判断をする必要があります。
もっとも、支払ができない以上、いずれは破産申立などの手続きを取らざるを得ないことが多いでしょう。
再度の任意整理を行う
任意整理はあくまで債権者との任意での合意ですので、理論的には、再度任意整理を行うことも可能です。
ただ、任意整理を行うには、一定の支払原資が必要になりますし、前回の任意整理の経緯やその後の経緯などによっては、債権者は交渉に応じてくれないこともあり得ます。
1回だけの滞納の場合
なお、新型コロナウイルスにかかってしまったことによる減収など、一時的な状況で、1回分だけ滞納してしまう場合には、任意整理のペナルティが発生しないことが多いです(一括払いなどのペナルティは2回分滞納した場合に発生することになっていることが多いため)。
この場合には、各債権者に連絡等を行った上、早めに滞納を解消するようにすることで再度何らかの手続きを行うことまでは不要なこともあるでしょう。
上記のとおり、任意整理(分割払いの合意)後に支払えなくなってしまった場合にも対処法はあります。
もっとも、任意整理は長期的に支払が継続する手続きですし、支払が続いている期間に不測の事態が生じることは十分にあり得ますので、任意整理の条件を決める際には、将来も見据えた形で決めるとともに、不測の事態が生じても弁済を継続できるよう、少しずつ積み立てや貯金を行うなど、そのような事態への準備を行うことも必要でしょう。