相続が発生した場合に、他の相続人、特に遺産を管理している相続人や生前に被相続人の面倒をみていた相続人から、書面に署名押印を求められることがあります。
この場合、書類の内容を確認せずに署名押印をしてしまうと、後日思わぬ状況に陥ることがあります。
また、そのような状況に陥らなくても、何も知らずに署名押印すると、注意点を知った上で理解して署名押印した場合と異なり、後々に不安が生じることもあります。
そこで、今回は、相続において署名押印を要求された場合の注意点についてお話ししたいと思います。
相続で署名押印を求められる場合について
そもそも、相続で署名押印を求められる書類には、遺産分割協議書などの遺産の分割を終局的に終わらせる内容のものや、相続分がないことの証明書や相続分譲渡証書など相続しないことを合意するもの、銀行などでの手続きの書類など、様々なものがあります。
各書類はそれぞれに意味合いや効果が異なりますので、一概に署名押印をしてよいかどうかは判断できません。
署名押印を求められた場合の注意点
署名押印は、書類によっては、そのような合意を成立させたという証拠になるものであり、内容を知らずに安易に署名押印をすべきではありません。
特に相続では、遺産分割など一度行ってしまうと後戻りできない場合もあり、大変重要なものですから、必ず書類の内容を確認しましょう。
また、相続の場合、他の相続人から何らかの説明を聞いて、その話に納得して署名押印を行うこともありますが、この場合でも、書類の内容が話の内容と異なっていることがあります。
この場合、話の内容よりも書面の内容が優先されることがほとんどであるため、やはり書面の内容を確認することは大切です。
相続しないで良い場合でも、他の相続人から求められた書類に署名押印するよりも、裁判所で相続放棄の手続きをとる方が適切なこともあります。
特に被相続人に借金がある場合などはその方が良いでしょう。
このような場合に、遺産分割協議書など、あたかも遺産分割を行ったような書類を作成してしまうと、後日相続放棄の手続きができなくなることもあります。
これにより無用な債務負担などが起こる可能性がありますので、十分に注意が必要です。
以上のとおり、署名押印を求められた場合には、内容を確認すること、自分が行いたい手続きに対して書面の内容や効果があっているか確認することが重要になります。
判断が難しい場合には弁護士に相談しましょう。