離婚といっても離婚を考える原因は夫婦それぞれです。そして,その原因ごとに注意点があります。今回は不貞行為(不倫など)を原因とする離婚の注意点についてお話しします。
不貞行為は明確な離婚原因
裁判で強制的にでも離婚ができる原因(離婚原因)について,民法という法律はいくつかの事由を定めていますが,不貞行為はその定めにも明記されている明らかな離婚原因です。
ですので,不貞行為を行ってしまった夫または妻は,不貞行為を行ったこと自体を争えない場合には,配偶者から離婚を求められれば,いずれ離婚せざるを得ない状況にあります。
不貞行為を行ったが,離婚はしたくないという場合には,配偶者に離婚を思いとどまってもらう以外に,最終的に離婚を避ける方法はありません。
ただし,不貞行為があってもその後の夫婦関係にそれほどの影響がなく,長年夫婦生活を継続できた場合には,数年後に離婚を切り出されても離婚にまで至らない場合もあります。
不貞行為は立証が難しい
配偶者に不貞行為をされてしまったので離婚しようとする場合,離婚原因があることは明らかなので,不貞行為が明らかであればいずれ離婚は可能です。
しかし,不貞行為自体を配偶者に争われた場合には,不貞行為の存在を立証しなければいけません。
この立証というのが,しばしば難しいことがあります。例えば,配偶者が異性とホテルに入るところを写真や動画で撮影し,出てくるところも写真や動画で撮影してあれば,不貞行為の存在がほぼ推察されますが,異性と親しげな写真を撮っていたとか,親密なメールが来ているなどという場合,不貞行為の立証までは難しい場合があります。
ですので,いかに証拠を押さえるかがカギになります。
もっとも,異性と親しい事実自体は立証できる場合もあるので,その場合には,程度が著しい場合には,不貞行為ではなくとも,婚姻を継続しがたい重大な事由という別の離婚原因での離婚が可能な場合もあります。
不貞行為前に夫婦が不仲だった場合
不貞行為前にすでに夫婦が不仲だった場合,不仲の度合いが著しく,すでに婚姻関係が破綻していたといえる場合には,不貞行為にはあたりません。
もっとも,単に不仲だったとか,離婚の話が出ていたという程度では破綻とまではいえませんので,この場合には不貞行為にあたります。
不貞の相手方への慰謝料請求も
配偶者に不貞行為をされた場合,不貞の相手方にも慰謝料を請求できます。
この場合,離婚の進行具合などで請求金額も変わる可能性もありますし,不貞の相手方が夫婦関係の破綻を信じ込まされていたなどの場合には慰謝料は請求できない場合があります。また,相手方の情報をどこまで知っているかでも請求が現実的に可能か変わってきますので,お悩みの場合には弁護士に相談しましょう。
(離婚原因ごとの注意点②につづく)