ご相談の中で,よく内容証明郵便について話題になることが多いのですが,誤った認識をお持ちの方が多いので,今回は,内容証明郵便とは何か,どういった場面で使うものなのかについてお話ししたいと思います。
内容証明郵便とは
内容証明郵便とは,手紙を送る場合に特殊な送り方をするものです。一般の手紙は,手紙を書いたら封筒に入れて封をして送付するものですが,内容証明郵便は同じ手紙を3通準備し,封筒とともに郵便局に持参して,郵便局に中身の確認をもらってから郵便局で封筒に入れて送付します。そして,郵便局と送付者本人の手元にそれぞれ控えが残るというものです。
内容証明郵便は文字数に制限があり(縦何文字まで,横何文字までという形の制限です。),その文字数を超えると受け付けてもらえません。
なお,登録手続きをすればインターネット経由でも送付できます。この場合,データで送付しますので,縦横の文字数制限は気にしないでよく,郵便局での確認もありません。
内容証明郵便の利点と使う場面
内容証明郵便は,郵便局に控えが残りますので,後日紛争になった場合の証拠として使えるという利点があります。また,内容証明郵便に配達証明というオプションをつければ,相手方に配達されたことまで郵便局が証明してくれます。
このような特徴から,内容証明郵便は,法律上の意思表示(取り消しや解除など)や催告といった重要な意思の表示を行うために使います。また,訴訟提起前に相手方に請求した事実を証明するために使うこともあります。
すなわち,こちらから相手方に何らかの意思を伝え,相手方が後日聞いていないなどといえないようにしておくという使い方をします。
ただ,内容証明郵便の体裁は通常の手紙とは異なり大袈裟な感じを受けますし,弁護士から内容証明郵便が送られてくると,訴訟予告の意味合いも含まれることもあるため,単純に請求しても支払ってこない相手方に対し,内容証明郵便で請求するという使い方をする場面もあります。
内容証明郵便自体には判決のような効果はない
とはいえ,内容証明郵便は,実質的には手紙に過ぎないため,裁判の判決とか,支払督促のような,特別な効果はありません。内容証明郵便を送ったから相手方の支払義務が確定するとか,相手方が争えなくなるとか,相手方が認めたことになるというような法的効果はありません。
ですので,インターネットなどを見て,内容証明郵便を使えば何とかなると過信してしまわないように注意してください。