問題解決を行う場合に、当事者同士の話し合いで解決することが難しい場合、裁判所の手続きをとることも視野に入ってきます。
裁判所で問題解決をする手続きは様々なものがありますが、裁判と調停が代表的です。
裁判はイメージどおり、お互いに主張を戦わせるなどして、裁判官が結論を決める手続きです。
他方で、調停は、裁判所の調停委員が間に入って話し合う手続きです。
それぞれ手続きで行うことが異なるため、考え方や進め方にはだいぶ違いがあります。
そこで、今回は、裁判と調停の違い(考え方や進め方の違いについて)についてお話ししたいと思います。
考え方の違い
裁判は、裁判官が法律を当てはめて結論を決める手続きですので、紛争の経緯などの事実のうち、法律適用に必要な事実について、主張・立証をしていく必要があることになります。
したがって、法律適用に不要な事実(特に関係が薄い事実)については重要視されません。
また、当事者間に争いのある事実は証拠で立証をしていくことになりますが、証拠がないような事実は、ないものとして扱うという考え方によることになります。
ですので、当事者が自分で裁判を行う場合、自分が話したい事実が重要視されず、消化不良になることもありますし、結論が必ずしも自分が思ったようなものにはならないこともあります。
他方で、調停はあくまで話し合いベースですので、裁判ほど法律に拘束されません。
むしろ双方が納得することが大切な手続きになりますので、双方の言い分を、法的には無関係なものでも順次聞いた上で、双方が納得する結論はどういったものなのかを探っていくという考え方で動きます。
そういう意味では、証拠についても、裁判ほどは重視されません。
進め方の違い
裁判では、法律適用に必要な事実(間接的に必要な事実も含む)を積み上げていくことになりますので、当事者双方の主張を繰り返し、主張を整理していく流れになります。
それと併行して、争いのある事実について、双方証拠を提出していくことになります。
そして、最終的には、尋問といって、当事者に質疑応答をして、裁判所が結論を出すことになります。
他方で、調停では、双方の話を交互に聞いていき、必要な範囲で証拠なども確認して、話し合いを進めることになります。
そして、双方で解決方法を模索(時には譲歩)し、双方で納得できる解決を探ります。
ですので、主立った進行としては、それぞれの話を順次きいていくことになります。
また、裁判では書面で主張することが多いため、裁判所での話は短時間ですが、調停ではそれぞれの話を聞くため、各期日で2時間程度予定されます。