今回は損害賠償できる場面,できない場面を,必要な条件ごとにお話ししたいと思います。
契約違反や違法行為などの存在
まず,損害賠償請求ができる条件として,相手方の違反行為や違法行為など,損害賠償の基礎となる行いが必要になります。
例えば,契約の期日を守らなかったとか,契約条件をみたしていないとか,事故を起こしたなどです。
逆に損害賠償を請求できない場合としては,相手方が行った行為が適切適法だった場合です。例えば,100万円でリフォームを頼んだとして,適切に施工してもらったが,あとで80万円でおねがいできそうな業者があったから,差額20万円を請求したいというような場合は,この条件をみたさないため請求できません。
相手方の故意または過失
また,損害賠償ができる条件として,債務不履行や不法行為の場合,相手方の故意過失(わざとまたは不注意)も必要となります。
例えば,契約違反や交通事故など一般にはこの要件を満たしますが,交通事故でももらい事故などで,過失が全くない場合には,過失がない方に対する請求はできません。
また,地震や災害などで,天災のみが原因の場合にも,損害賠償請求はできません。
損害の発生
損害の賠償ですので,損害の発生は必要です。損害がないのみ賠償を請求することはできません。ただし,損害は無形のものや目に見えないもの(売上の減少,精神的損害など)も含みます。
損害の発生で問題となるのは,精神的苦痛の損害賠償,つまり慰謝料です。
人はあらゆることで苦痛を感じますので,全てにおいて慰謝料が発生しそうですが,法律上はそうなっていません。
一般的に甘受し難い程度,つまり,強い精神的苦痛の発生が必要になります。
ですので,例えば,相手方の行為によってPTSDなど精神疾患になってしまったなどは強い精神的苦痛を受けたというのは明らかですが,そうでない場合には,相手方の行為との関係で強い精神的苦痛を受けたといえるかどうかを見る必要があります。
次回はその他の条件などについてお話ししたいと思います。
(損害賠償を請求したい!!③に続く)