ご家族が亡くなられた場合に、遺産分割協議を行って遺産の分け方を決め、相続の手続きを行うことが一般的です。

 協議に際しては、弁護士に依頼する方がいたり、調停をおこなったりして協議が成立する場合には専門家が入るので良いのですが、各相続人本人が話し合いを行う場合には、それぞれの考えで進めてしまうため、混乱したり、紛争が激化することもあり得ます。

 特に一部の相続人が遺産分割協議について誤解していると、その誤解を元に話し合いをしてしまい、混乱が深まることもあります。

 そこで今回は、遺産分割協議に関する誤解(どうすれば成立するのか)についてお話ししたいと思います。

 

相続人が多数了承すれば良いとの誤解

 まず、遺産分割協議は相続人全員で合意することが必要であり、一部でも反対があると成立しません。

 この点、一部反対していても少数だから問題がないとか、一部の方に判断能力がない、行方不明だなどの事情があっても、大丈夫であるとの理解は誤解です。

 あくまで全員一致が必要ですので、一部の相続人の意向だけで進めることはできません。

 

長男など家を継ぐものが全部取得できる誤解

 また、現代の相続は均分相続といって、長男などが有利ということはありません。

 何か被相続人に対して支出などし、特別に遺産を増加させたり、逆に減少させたりした場合には、特別受益や寄与分といった調整要素がありますが、長男だからなどといった理由では修正されません。

 

説明を鵜呑みにして判を押してしまう誤解

 兄弟姉妹など身近な親族が相手方の場合、話や説明を信じてしまって、書類をよく読まず、押印したり印鑑登録証明書を渡したりする例があります。

 口頭の話は、後日証明できず、言った言わないの問題が出てきて非常に不安定です。

 書類に記入や押印するときは内容をよく確認しましょう。

 

10か月以内に成立させないといけない誤解

 相続税の申告が死亡から10か月であることから、遺産分割協議は10か月以内に成立させないといけないと誤解したいる場合があります。

 相続税申告は後日修正申告も可能ですし、遺産分割協議には期限はありません。

 ですので、よく考えて協議してください(なお、相続放棄や限定承認は死亡を知ったときから3か月という期限がありますので、ご注意ください。)。

 

 

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