問題解決には、大きく、裁判などの強制的な解決と、当事者同士で合意をするなどの任意的な解決があります。
強制的な解決の場合には、裁判所などが結論を決めますが、任意的な解決では相手方の納得も必要になるため、その進め方には大きな違いがあります。
そして進め方を誤ってしまうと、問題がうまく解決しないことになり、かえって問題が複雑化する可能性もあります。
そこで、今回は、交渉で解決する場合の正しい進め方、誤った進め方についてお話ししたいと思います。
強制的な解決の場合
まず、強制的な解決の場合には、特に裁判の場合、双方の言い分を聞き、裏付けとなる証拠を確認して、事実認定を行い、認定された事実を法律にあてはめて結論を出します。
法律にあてはめて解決を図るので、前提となる法律が自己に有利であれば有利な結果となり、不利であれば不利な結果になります。
また、認定した事実を前提とするので、証拠がない場合など、事実が認められないこともあり、この場合には自己に不利な結果になります。
この解決方法は、相手方に明らかに非があって証拠があるなどの場合には、納得のいく結論になりやすいため、いわば相手方の非を追及する形になりやすい方法といえます。
任意的な解決(交渉での解決)では
他方で、任意的な解決、特に交渉で解決する場合には、解決の方法は全く異なります。
裁判などでは第三者が判断するため、法律などにのっとりどちらが正しいのかということを強く主張して第三者の納得を得ることが目的ですが、交渉などでは、相手方との合意をするために、相手方の納得を得ることが目的になります。
相手方の納得というものは、相手方の非を認めさせることではありません。
相手方にいかに自分が正しく、相手方が間違っているか強く話しても、相手方が非を認めてくることはありません。
相手方には相手方の認識があり、相手方の価値観、常識があります。
そもそもそのような認識や価値観などが双方でずれていますので、相手がおかしいといっても自分でおかしいと考えることはありません。
相手方の納得は、相手方の立場になってこそ得られます。
そこで、交渉など任意的な解決を行う場合には、相手方の話を聞き、どこが自分の認識と異なるのか、このまま争った場合ゆくゆくどうなるのかなど、諸般の事情を考慮しつつ、相手方の立場でも納得できそうな提案をするなど、一定の配慮が必要になってきます。
また、相手方の非をあげると、場合によって感情的になってしまいますので、そのあたりは控えめにして話すことも重要です。