親子間や兄弟姉妹間の仲が悪い場合や、法定相続人の素行が悪い場合、法定相続人に行方不明・音信不通の人がいる場合など、将来的に相続でもめそうな場合があります。

 この場合、何も準備していないと、残された相続人に負担が生じ、場合によっては、相続が頓挫してしまう可能性もあります。

 そこで、今回は、将来的に相続でもめそうな場合にどうすれば良いかについてお話ししたいと思います。

 

遺言や民事信託などで準備する

 まず、死亡時のことを考えて、遺言を作成しておく方法があります。

 遺言は自筆でも作成できますが、文言など、難しい場合もあるため、できれば公正証書を公証役場で作成する方が良いです。

 また、遺言ではカバーできない場合、状況によりますが、民事信託という方法もあります。

 これは、生前の段階で、自分の資産を家族などに渡しつつも、受益を本人が受けるなどすることで、死亡時の準備にも使うことができます。

 

生前贈与もあり得る

 また、税金がかからない、または安い状態であれば、生前贈与をしてしまう方法もあります。

 贈与税は高額になることもあるため、税理士等への相談が必要な場合があります。

 

亡くなる前に遺産分割を決められるか

 上記遺言等以外に、例えば、被相続人になる方が亡くなる前に、遺産分割をしたり相続放棄をしたりできるのでしょうか。

 結論から言えば、これは不可能です。仮に書類などで明らかにしておいても法的には無効になります。

 

遺留分

 遺言や生前贈与で、一定の人に資産を譲った場合、状況により遺留分侵害として、取得したものがない、あるいは少ない場合に、遺留分減殺額請求を受けることがあり得ます。

 したがって、遺言や生前贈与も完璧ではありません。

 しかし、遺言や民事信託、生前贈与は、死亡後に遺産分割協議を不要にする可能性があるため、そういう意味では手続きを進めることが可能にはなるため、有用性は高いです。

 

遺留分に対する対策

 生前に遺留分を放棄する手続きはあるのですが、家庭裁判所で、放棄する人が許可を得なければならず、現実的には難しいでしょう。

 そこで、遺留分にも配慮した遺言等を行うことで準備する方が現実的と言えるでしょう。

 どのような方法を採る方が良いのかについては、状況によりますので、弁護士に相談してみましょう。

 

 

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