離婚の話し合いをする際に,離婚さえできれば良いと考えてしまい,他のことを全く決めなかったために,離婚後に苦労する場合があります。今回は,離婚後に苦労しないよう,離婚のときに決めておくべきことをお話ししたいと思います。
お子さんの親権
離婚届にはお子さんの親権者を必ず記載しなければならないため,お子さんの親権は必ず決める必要があります。
問題はどちらにするかということです。
例えば,養育するのが母親で,親権者を母親にすることに双方納得している場合は,母親を親権者にすることで問題ありません。
問題は,例えば,養育するのが母親ではあるが,親権者を父親にするといったような場合です。
この場合,親権者を父親としつつ,監護権者を母親にする,または,事実上母親が養育するということになりますが,離婚後,様々な場面で問題を生じます。
親権者は子供に関する事項の決定権限を持っている人です。各種契約など重要な決め事は親権者が行う必要があります。
ですので,この場合には,母親が養育しているにも関わらず,様々な場面で父親の了承や署名押印などを求められることになるのです。
稀に養育はしないが,跡取りとして親権は欲しいなどという夫に対して,妻が離婚を優先してその条件をのんでしまう場合がありますが,できるだけ避けた方が良い選択です。
養育費
お子さんの親権者が決まり,仮に親権者と養育者も同じであれば,養育していない非親権者から養育費をもらうことができます。
養育費に関しては,法律上は後日決めても良いことにはなっていますが,しっかりと決めておいた方が良いです。
というのも,養育費はかなりの長期間支払を行うことになりますので,支払う方の状況の変化などで,不払いになってしまうことが多くあります。
また,当初は親権者の方でも不要と思っていたとしても,進学や習い事など,思った以上に出費があると,養育費を求める必要がでてきます。その際,改めて養育費の請求をしようとしても,相手方の居場所が不明になっていて,弁護士などを依頼して居所調査を行う必要がでてきてしまいます。
ですので,最初から養育費はしっかりと決めておいた方が良いです。
そして,決める場合には,できるなら公正証書の作成が望ましいですが,そこまでいかなくとも,書類を作成しておく必要があります。
よく口頭の約束で合意する場合がありますが,不払などが発生した場合には調停などの手続きをとることになりますが,その際,相手方が合意の存在を否定することはよくありますし,合意の存在が証明できなければ,改めて合意を行うことになるので,これまでの滞納分については受領できない可能性が高くなります。
ですので,養育費の取り決めはしっかりと書面に残しておきましょう。
なお,養育費の金額に関しては,裁判所のホームページに算定表というものが公開されており,相場が分かりますので,参考になさってください。
(離婚のときに決めること②につづく)