慰謝料

 離婚と聞くと,慰謝料はつきもののようで,相談の際は皆さんが慰謝料はどれくらいもらえるのかなど,必ずといっていいほど聞かれます。

 しかし,離婚において,慰謝料は必ず請求できるものではありません。

 慰謝料は,精神的苦痛を金銭で埋めるものですが,精神的苦痛があれば即慰謝料が請求できるわけではなく,その苦痛が著しい場合に限って慰謝料が発生するとされています。

 例えば,不貞行為やDVなど,明らかに片方の配偶者が離婚原因を作ってしまった場合には,婚姻生活を何も悪くないにもかかわらず勝手に壊されてしまい,その精神的苦痛も大きいと考えられますので,もう片方の配偶者は相手方に慰謝料を請求できます。

 他方で性格の不一致から喧嘩してしまい,別居が長期化したため,離婚をする場合,性格の不一致は双方に原因がありますので,片方の精神的苦痛が著しいとはいえず,慰謝料は発生しないと考えられます。

 そして,慰謝料は一般的には100万円~500万円が相場とされていますが,これはあくまで裁判で解決した場合であり,協議離婚や調停では,慰謝料の支払いがないことの方が多いです。何らかの一括の金員を支払うことにする場合にも,慰謝料ではなく,解決金など,別の名称の場合が多いです。

 

年金分割

 年金については,年金分割制度という制度があり,財産分与とは異なった分与の方法があります。

 年金分割制度には合意分割制度と3号分割制度というものがあります。

 合意分割は,離婚の際に按分割合(何対何で分けるか)を合意すれば,扶養に入っているなどして厚生年金に加入していない配偶者は,厚生年金に加入している配偶者の厚生年金を決めた割合に応じて分割してもらうというものです。

 3号分割は平成20年4月以降の年金記録分について,手続きをすれば,相手方と合意がなくとも,2分の1の割合で分割される制度です。

 いずれも年金事務所での手続きが必要になります。また,離婚から2年以内に手続きをする必要があります。

 離婚の際に相手方と決める事項としては上記の合意分割についてです。3号分割は合意の有無にかかわらず手続きは可能です。

 手続きには合意の書面が必要になりますので,合意の際は必ず書面を作成しましょう。

 

(離婚のときに決めること⑥につづく)

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