紛争やトラブルが発生した場合,弁護士に相談すると,必ずといっていいほど証拠についての話をされます。また,裁判を考えた場合には証拠が必要になることは皆さんもイメージできると思います。しかし,皆さんのイメージする証拠と,裁判などにおける証拠は必ずしも一致していないように思われます。そこで,今回は証拠についての概略をお話ししたいと思います。

 

証拠の重要性

 以前,本コラムで民事訴訟の仕組みについてお話ししたことがありましたが,民事訴訟では,原告または被告が主張する事実の有無を,証拠で立証できるかにより,判断することになります。

 したがって,証拠がなければ,自らの主張が証明されていないことになり,主張事実はなかったものとして扱われます。

 しかも,証拠の内容として,主張事実が十中八九あったであろうという心証になる程度のものである必要があります。当然,複数の証拠に組み合わせでも良いのですが,60%程度あったであろうという程度では立証できていないことになってしまいます。

 ですから,裁判において証拠というものはかなり重要なものになります。

 

裁判以外でも重要

 また,裁判でなくても,話し合いや調停などを行うときに,お互いの言い分が異なれば,互いが出す証拠を検討して進めていくことが考えられます。このとき,十分な証拠があれば,相手方も反論ができなかったり,こちらの言い分を信用してくれたりなど,こちらの考えを理解してくれる方向に作用しますが,証拠がなければ争いはなかなか解消しません。

 したがって,証拠は裁判以外の場面でも重要になります。

 

証拠とは

 裁判などでいう証拠とは,事実を証明するものですが,契約書など,契約などを直接証明するような証拠と,状況証拠のような一定の事実を推認させる証拠があります。

 上記の直接的な証拠については,裁判所がかなり重視しますので,その内容と事実が異なることがあっても,証明することはなかなか難しいと言わざるを得ません。

 他方で,状況証拠のようなものは,複数の証拠を組み合わせる必要があり,なかなか判断が難しいこともあります。

 「記憶」についていえば,記憶も一つの証拠にはなります。ただし,裁判では尋問という手続きを経て証拠と扱われますので,それまでは証拠ではないことになります。また,記憶は簡単に歪んでしまうため,裁判所は尋問結果をそこまで重視しておらず,書面などの客観的な証拠が重要になってきます。

 ご相談を受けていると,「書類にはこう書いてあるが,相手方はこのときこう言った。」「だから相手方も十分わかっているはずだ」という話がよくなされます。これは書面などの証拠より,相談者及び相手方の記憶を重視することになりますが,裁判では,客観的な証拠(書類や物,データ,映像など)が重視されるので,必ずしもおっしゃるとおりには考えられないわけです。

 また,状況証拠のようなものである場合,見る人の価値観で評価が変わることがあり,ご本人が証拠だと思っていても,第三者から見ると証拠にはなっていないこともあります。

 

証拠を残しておく重要性

 以上のとおり,証拠は重要でありながらも,状況証拠のような間接的な証拠はあいまいな部分もあります。

 ですので,何か紛争が起きそうだとか,将来の紛争を未然に防ぐなどといった場合,できる限り直接的な証拠またはそれに近い証拠を集めておく必要があります(例えば,口頭で決めたことを書面にしておく,署名押印などまでしておくなど)。

 

 

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