これまで離婚に関する法的な考え方ややっておいた方がよいことについてお話ししてきましたが、実際に相談に来られる方の中には、インターネットでいろいろ調べてみて話し合いなどをしてみてはいるが、うまくいかなかったことから相談に来られる方もいらっしゃいます。
確かに最近のインターネットでは、離婚に関する様々な書き込みがあり、弁護士に相談されなくても解決ができそうに感じることはありますが、インターネットでの知識は一般的なものであって、個別具体的な事例にうまく当てはまらないことがよくあります。
また、早めに弁護士に相談しておくことで、具体的な対応などもイメージがわくなど、さまざまなメリットがあります。
そこで、今回は離婚をお考えの方へ早めに弁護士に相談するメリット、逆にどのような場合は必要ではないかなどについてお話ししたいと思います。
早めに弁護士に相談するメリット
離婚に際し話し合っておくべきことが分かる
離婚に際しては、たくさんの話し合っておくべきことがあります。インターネットを見れば、親権、養育費、慰謝料、財産分与、年期分割といった、一般的に決めておくべきことはわかりますが、離婚届をどう出すか、社会保険の手続き、動産(家財など)の整理、離婚後の連絡方法など、離婚してみないとわからないようなことが漏れることがあります。
この点、弁護士に相談しておけば、全てとまではいかないまでも、少なくとも後日悩まなくてよくなるくらいにはそのような項目もアドバイスをもらえると思いますので、離婚後あたふたしないためには、事前に弁護士に話を聞いておいた方がよいと思います。
一般的な基準が分かる
慰謝料や財産分与など、割と細かく書いてあるネット記事もありますが、具体的に相談者の事例の場合どうなりそうかという点は専門家でないとなかなか判断はつきません。
一般的な基準からすれば自分の事例でこうなりそうだということが分かっていれば、無用な争いを避けられる可能性も出てきますし、争いになった場合にどうなるかも理解できます。
そういった意味でも、事前に弁護士に相談しておくメリットはあります。
具体的な対処方法が分かる
いろいろと調べて知識が増えたとしても、具体的な話し合いや各場面での対処法は分からないことの方が多いです。
例えば、話を進めるにあたってどの部分から決めた方がよいのか、相手方とそもそもの認識が違う場合どうすればよいのか、実家などが関与してきた場合にどう対処すればよいのかなど、離婚の際に決める項目や一般的な基準を理解していても、具体的に解決に結びつかないことが多くあります。
弁護士は具体的に事例を解決していくのが仕事ですので、そのような各場面での対処法や進める順番などについても知識経験があることが多く、事前に話を聞いた方が具体的な進め方などについてもイメージを持つことができます。
弁護士を依頼しなければならない場合の準備にもなる
万が一、話し合いが決裂して弁護士を依頼する場面がきた場合、その時になって慌てて相談に行くと、自分に合わない弁護士でも依頼せざるをえないことや、準備が不十分で弁護士側も十分な活動ができないこともあり得ます。
事前に弁護士に相談しておけば、準備の不十分さを防ぐこともできますし、弁護士との相性も十分に考えられます(もし相談した弁護士が合わない場合には、他の弁護士に相談することが可能です。)。
以上のとおり、早めに弁護士に相談しておくことはかなりのメリットがあります。
他方デメリットとしては、時間(相談時間の確保)や費用(相談料)がかかることです。ただし、費用に関しては当事務所のように初回1時間無料など、費用がかからない場合もありますし、法テラスなどの制度を利用することで実質的に費用がかからないこともあります(特に現在、東日本大震災の対応としての震災援助事業が係属中ですので、宮城、福島、岩手に当時お住まいだった方等は、法テラスが利用できることが多いです。)。
弁護士への相談が不要な場合
以上のメリットからすれば、かなりの多くの方が相談をしておいた方がいいと思われますが、相談が不要な場合もあります。
例えば、かなりスムーズに話し合いが進んでおり、お子さんもおらず、分与すべき資産もなく、双方に離婚の原因があって慰謝料が考えられないなどの場合です。
このような場合には、スピードを重視して弁護士の相談をしないことも考えられます。