家族・親族が亡くなってしまい、葬儀等は行ったとしても、遺産分割の手続きまでは行っていない方や、特定の相続人が遺産分割を進めてしまい内容がよくわからないままの方、遺言や生前贈与で遺産を多く取得したが他の相続人から遺留分減殺を主張された方など、相続に関してお悩みの方は多いと思います。

 しかし、一般的にはやはり弁護士に相談しようと考えるまで至らない方も多く、遺産に不動産が含まれる場合に司法書士さんに相談するくらいで、それ以外には、金融機関や役所などの話を聞きながら、なんとなく手続きをしてしまう場合も多くあります。

 このような方法で進めた場合に、相続人全員が納得するのであれば良いのですが、やはり後日疑問が出たり、納得できなかったりする相続人が出てきてしまうこともあります。そのようなことにならないためにも、早い段階で透明性を持った手続進行を図る必要があります。

 他方で、相続に関しては、遺産調査をしたら多額の債務が残っていたなど、予想外の展開になることもあり、相続放棄申述手続きなどを行う必要がある場合もあります。相続放棄申述は相続があったことを知ったときから3か月以内に行う必要があり、早めに判断する(判断できるよう調査する)必要もあります。

 そこで、相続に関し、ご家族などが亡くなって、できれば2か月以内に、一度弁護士に相談した方が良いでしょう。早めに相談しておけば、以下のようなメリットがあります。

 

遺産の調査、相続放棄申述の判断などができる

 遺産調査はかなり面倒で、どこでどういう手続きをとれば良いのか、よくわからなくなってしまいます。弁護士に相談すれば、どのような手続きをすべきか、アドバイスをもらえますし、依頼すれば遺産の調査も代わりにやってもらえます。

 また、遺産調査の優先順位をつけるなどすることで、早めに相続放棄申述手続きなどをすべきか判断できるようになりますし、相続放棄申述手続きの方法も教えてもらえます。

 調査に時間がかかる場合には、相続放棄申述の期間を延長できる手続きがありますので、この点もアドバイスがもらえます。依頼することになれば、手続きも代わりにやってもらえます。

 

遺産分割の中身が明確になる

 遺産調査の結果も含め、どのような遺産がどのくらいあるか整理した上で、法律上どのような分け方になるのか、その分け方を前提としてどのように進めるかなど、遺産分割の中身も進行も明確になります。

 仮に法律で定まった分け方でなくても、相続人全員が了承すればよいので、分け方に希望がある場合には、それをどのように実現できるかアドバイスがもらえます。

 また、依頼した場合には、依頼者のみならず、他の相続人も納得しやすいよう遺産分割に関する中身が明確になるに進めることができます。

 逆に手続きに関与していない相続人の方でも、手続きを進めている方からどのように情報を得ればよいかなど、アドバイスを得ることができ、場合によっては依頼して弁護士を窓口にして、明確な遺産分割を行うことも可能です。

 

後日の紛争が少なくなる可能性もある

 弁護士に相談または依頼した場合、最終的には遺産分割協議の成立を目指すことになり、遺産分割協議の条項作成に弁護士が関与することで、後日紛争が蒸し返されることなどを防ぐことができます。また、そもそも他の相続人も納得ができる進行になっていれば、紛争自体が起こらなくなる可能性も高くなります。

 

万が一紛争が起きた場合に適切な対応ができる

 ご本人が遺産分割を進行していた場合、紛争が激化してから弁護士が関与しても、解決までの期間がかなり長期になるなど、泥沼になってしまうことがあります。

 しかし、早期に関与することで、依頼までしない場合でも、どの段階で調停申立てに移るべきかなど、進め方がわかりますので、紛争が起きた場合の対応を適切に行うことができます。

 

デメリットは?

 以上のとおり、相続において、早期に弁護士に相談することには、さまざまなメリットがありますが、デメリットはないのでしょうか。

 考えられるデメリットは、相談料などの費用がかかってしまうことや、相談する時間がとられてしまうという時間的な負担などです。ただ、これらは、上記のメリットと比較すればそれほどのものでもないですし、金銭面では法テラスの相談料の援助制度などが利用できる場合には、相談料の負担なく相談できます。

 なお、弁護士には守秘義務がありますので、他の相続人などに相談したことなどが知れることはないと考えられますので、この点、デメリットはありません。

 

以上のとおり、遺産分割や遺留分など相続でお悩みの方は、是非お早めにお近くの弁護士に相談していただければと思います。

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