土地や建物といった不動産について、祖父母やその上の代の名義のままということが散見されます。

 この場合、普段使用している分には問題ないのですが、いざ売買をする、解体をするといった何らかの処分をしなければならなくなった場合、そのままでは売買や解体をすることはできません。

 なぜなら、不動産は不動産登記を基準に権利者を確定することが多く、名義人以外の所有だといっても、そのままでは通用しないからです。

 では、このような場合、どうすればよいのでしょうか。

 

まずは相続人の調査をする

 まず、名義人からどのように相続が行われ、現在の相続人はだれなのかを調査する必要があります。

 調査の方法としては、戸籍、除籍、改製原戸籍を順番に取得していく方法で行います。

 戸籍の流れを確認し、それぞれの方が亡くなられたときの法律を適用すると、現段階でだれが相続人なのかが分かります。

 ただし、取得しなければいけない戸籍等はかなり量が多く、解読もなかなか難しい場合も多いため、弁護士などに頼んだ方が良い場合もあります。

 

各相続人に連絡し、意向を確認する

 その後、それぞれの相続人が、知っている範囲の方であれば、その方に連絡を取って、相続する意向があるか確認することになります。

 先々代などの相続の場合、相続人が多数になることから、一人一人の相続分はかなり小さいことも多いです。このことから、人によっては、相続はいらないということもあります。その場合には、相続分の譲渡を受けることで、簡易に処理することが可能になります。

 他方で、相続人に全く知らない方がいらっしゃる場合、住所調査が必要になります。住所調査は戸籍の附票というものを取得すると、住民票が今どこにあるのか分かりますので、この方法により調査します。しかし、個人情報保護の関係もあり、一般の方が取得することは大変困難です。

 そこで、このような場合には、弁護士を依頼し、弁護士の職務上請求という形で住所調査をし、弁護士から相手方に連絡してもらいます。

 

できる限り相続分の譲渡をしてもらう

 相続人の所在が分かったら、できる限り相続分譲渡をしてもらいます。なぜなら、そうしないと、いちいち各書類に署名と実印での押印などが必要になるため、かなり煩雑になってしまうからです。

 場合によっては、一定の謝礼金を支払った上で、相続分譲渡に協力してもらいます。

 

相続分の譲渡に全員が協力してくれた場合

 相続分譲渡が全員分済むと、その書類(相続分譲渡証書)と印鑑証明などにより、登記が可能になります。そうすれば、名義が取得した方になりますので、単独で売買や解体ができます。

 なお、問題なく登記を行うため、相続分譲渡証書の作成に関しては、専門家に相談または依頼をして作成した方が良いと思います。

 

相続分譲渡に協力しない方がいた場合

 相続人の中に相続分譲渡がいやだという方がいた場合には、遺産分割協議を行う必要があります。

 また、協議がまとまらない場合には、裁判所の調停や審判で解決する必要が出てきます。

 

そもそも連絡がつかなかった場合

 相続人の中に連絡がつかない方がいた場合はさらにややこしくなります。

 このような場合には、不在者財産管理人の選任など、代わりに意思決定できる方を裁判所で選任してもらい、その方を相手に協議または調停などを行う必要があります。

 選任には費用や手間がかかります。

 

 以上のとおり、不動産名義につき、先々代の名義のままにしていると、何かあったときに大変面倒な手続きが必要になります。放っておく期間が長ければ長いほど、不在の方などが出てきやすくなるため、できれば早めに弁護士に相談し、名義を移動しておく方が良いでしょう。

 

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