確定申告の時期ですが,法律相談やご依頼に関し,税金が関連してくる場合があります。

 弁護士も登録などをすれば税理士として活動できますが,税務の分野は様々な通達がなされているなど,単体でかなり広く深い分野を形成しています。

 ですので,私は税理士登録をしていませんが,他方,税務の処理についてもある程度視野に入れないと,適切な法律相談や事件処理ができないことも事実です。

 どこで,今回は法律と税務の関係についてお話ししたいと思います。

 

租税法律主義と通達

 税金に関しては,租税法律主義という重要原則があります。租税法律主義というのは,税金に関することは必ず法律を定める必要があるという原則です。この原則から,所得税法など税金に関する法律ができあがっています。

 しかし,そのような法律において,具体的にどのような取引をどのような形に取り扱うかは詳細には記載していませんし,現実的には記載できません。

 そこで,現状は,通達という実務上の解釈基準のようなものが多数発出されています。

 通達は法律ではなく,行政による解釈ですので,租税法律主義に反するのではないかという意見もあり得ますが,解釈が分かれる法律に関し,現実的には一定の基準として働いている状況です。

 

法律行為と税務での解釈

 そして,そのような通達も含め,税務においては,法律で解釈される法律行為などとは別の取り扱いがなされることがあります。

 例えば,相続において,法律上は遺産分割を相続人全員でやり直すことは可能です。しかし,税務上はいったん成立した遺産分割を前提に相続人間で贈与をしたという解釈になり,贈与税が発生することがあります。

 すなわち,法律上は可能な行為も,法律上の構成と税務の構成は別ということもあり得るのです。

 

税務も視野に入れた解決が重要

 そうすると,法的に可能というだけでなく,税務上はどのように扱われるのかについても視野に入れて解決する必要があります。

 弁護士は,必ずしも全員が税務に明るいわけではないですが,解決にあたり,税務を全く無視することはできません。

 その弁護士が知らない領域の税務が関連する場合には,税理士に別途確認するなど,税務も視野に入れて解決を図ることは重要です。

 当事務所でもそのような視野をもって法律相談やご依頼事件の処理を行なうよう努めています。

 

 

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