離婚等の家族の問題や借金など生活費が関連する問題等,本人に財産がない場合に,家族に請求できないのか質問を受ける場合があります。

 家族,特に親などは,子どもが小さいときに他人に損害を与えると,賠償等の対応をすることもあり,家族も何らかの責任を負うのではというイメージがあるようです。

 今回はこの点についてお話ししたいと思います。

 

原則論:家族には請求できない

 まず,原則論として,何か支払義務を本人が負っている場合に,自動的に家族に責任を負わせるという法律はありません。

 一部,日常家事債務(生活に関連する債務の支払)に関し,配偶者に請求できたり,子どもが小さいときに親権者に請求できたりする場合がありますが,原則としては,家族には請求できません。

 というのも,法律はあくまで個人ごとに法律関係を規定しており,家族のような団体で責任を負うような仕組みになっていないからです。

 

例外:家族が保証人になっている場合

 ですので,家族にも責任を負ってほしい場合には,お金を貸す際などに家族に保証人になってもらうといったような対応が考えられます。

 保証人であれば保証人としての責任はありますので,万が一本人が支払わない場合には,保証人になっている家族に請求できます。

 ただし,保証契約は書面で行う必要があるなど,様々な条件はありますので,注意が必要です。

 

例外:家族自体の関与が賠償責任を発生させる場合

 交渉などの過程で,家族が関与してきて,その家族が名誉毀損等何らかの行為をした場合,家族自体に支払義務が発生することがあり,この場合は当然,その家族に請求できることになります。

 ただし,家族の起こした問題を本人に請求することはできません。

 

例外:日常家事債務

 日常の生活で生じた債務(例えば食料品を買った代金など)は夫婦が連帯する旨の規定があるため,保証契約を交わしていなくても他方配偶者に請求できます。

 

例外:責任無能力者の監督義務者としての責任

 本人が判断能力のない小さい子どもや障害者である場合には,監督義務を負う親が責任を負うことがあります。

 ただし,監督義務者が義務を怠らなかったといえるときには責任を負いません。

 

 以上のとおり,家族が責任を負う場合はかなり例外的ですので,基本的には本人からの回収等を検討しましょう。

 

 

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