調停なども含め,話し合いをしている場合,お互いの事実認識が異なるなどして,なかなか結論が出ない,または,結論が割れているという場合があります。
そのような場合,調停委員や弁護士などから,譲歩を促されることもあるでしょう。
このような場合,譲歩することについて抵抗があることは当然ですが,実は譲歩にもメリットがあります。
そこで,今回は,譲歩のメリット(譲歩の必要性)についてお話ししたいと思います。
譲歩しないと合意にならない
話し合いの場合に,どちらの当事者も譲歩しなければ,合意することは不可能になります。
そして,合意できないということは紛争状態が続くことになり,紛争の解決を図るためには,最終的に裁判(訴訟)を行うしかなくなります。
訴訟では,証明責任を負う方が事実を立証しなければならず,また,判決には柔軟性がないなど,紛争の解決としてはあまり良くないケースも多いです。
また,訴訟の結論は事案によっては予想しづらく,勝ち目があると思っても,敗訴してしまうこともあり得ます。
つまり,譲歩しない場合,譲歩すること以上の不利益を被る場合もあるのです。
したがって,譲歩には,このような不利益を回避するというメリットがあります。
譲歩して合意した場合には履行可能性が高くなる
相手方に対して支払などを求めるという場合,裁判でも支払ってこないこともあり,強制執行までしなければならないこともあります。
強制執行は費用や手間がかかりますし,実際に回収できるかは未知数な場合もあります。
他方,譲歩して合意した場合には,相手方も納得して合意していますので,相手方が任意に支払ってくる可能性が高くなります。
したがって,強制執行など余計な手間や費用をかけなくて済むというメリットもあります。
負けるが勝ちということも
以上のとおり,譲歩にもそれなりのメリットがあります。
相手方があまりに勝手な言い分を言ってきている場合,感情的に譲歩しがたいこともありますが,最初から絶対に譲歩しないと決めてかかるのではなく,現実的に一定の譲歩を見込むことも大切です。
場合によっては,譲歩した方が譲歩しない場合より得することもあり得るのです。
ですので,話し合いなどの場合には,視野を広く持ち,譲歩も視野に入れつつ話し合った方が良いと思います。