ご自身で何か裁判所の手続きを行う場合,どの裁判所で手続きを行うのか,悩む場合があります。
または,特に気にせずにお近くの裁判所に行ったところ,手続きができないという事態が生じることもあります。
さらに,遠方の裁判所で行う必要があると思い込んで,手続き自体を諦めてしまうこともあるかもしれません。
そこで,今回は,どの裁判所で手続きを行うのか,裁判所の管轄についてのお話しをしたいと思います。
訴訟(裁判)の場合
訴訟の場合,裁判所の管轄は複数あることが多いです。
まず,被告の住所地の裁判所に管轄が認められます。
また,土地の問題の場合は土地の所在地,交通事故など不法行為の場合には不法行為地の裁判所にも管轄があります。
さらに,一般的な金銭債権であれば,持参債務といって,権利者の住所に持参して支払うものですので,義務履行地として,原告の住所の裁判所に管轄があります。
その他にも詳細な取り決めがあります。
調停の場合
調停では,基本的に相手方の住所地の裁判所に管轄があります。
これは,相手方の出席の便宜を図るためと考えられます。
遠方の裁判所に管轄がある場合の対処法
遠方の裁判所にしか管轄がない場合でも,相手方と管轄についての合意をすることで,裁判所の管轄を変更できます(合意管轄)。
話し合いの内容については話し合いがつかなくても,管轄だけは合意できる場合には,この手法を使うことがあります。
また,遠方の裁判所で手続きをせざるを得ないとしても,電話会議の方法など,遠隔による手続きが可能なこともありますので,どうしても遠方への出頭が難しい場合にはこのような方法があり得ます。
以上のとおりですので,遠方の裁判所だけが管轄とはいえないこともありますし,仮に遠方の裁判所でも他の方法で手続きができるようにする方法もあります。
ですので,何かお悩みがあれば,すぐにあきらめないで,弁護士などに相談してみてはいかがでしょうか。