破産申立を考えて弁護士に相談した際に,破産管財人が選任される可能性があるから,費用が高くなるなどという説明がされることがあります。

 自分で弁護士を頼んだ場合には弁護士費用がかかりますが,破産管財人が選任される破産事件(管財事件といいます)では,弁護士費用とは別に予納金を裁判所に納める必要があります。

 破産管財人は通常,弁護士が選任されますので,自分で頼んだ弁護士と,裁判所から選任されたん弁護士がいる格好になります。

 他方,破産管財人が選任されない破産事件(同時廃止事件)というものも存在します。

 今回は,破産管財人がどのような場合に選任されるかや,選任されることの意味についてお話しします。

 

破産管財人が選任される場合

 破産管財人が選任される場合で代表的なものは,配当のためにお金に換える財産がある場合です。

 個人の破産の場合,自由財産という一定範囲での財産保持が認められますが,自由財産には含まれない不動産や高額な車両などがある場合,原則として,換価(お金に換える)作業をする必要があります。

 裁判所はそのような作業は無理ですので,破産管財人が作業を行うことになります。

 換価作業後は,法律の順番に従って債権者に配当がなされます。

 また,換価する財産がない場合でも,免責(債務をゼロにしてよいかどうか)について調査する必要がある場合や,そもそも財産があるのかなどを調査する必要がある場合なども破産管財人が選任されます。

 

破産管財人が選任されない場合

 逆に破産管財人が選任されないのは,換価する財産がなく,免責にも問題がない場合です。

 

破産管財人が選任される意味

 以上のとおりですので,破産管財人が選任される意味は,裁判所ができない作業や調査があるということを意味します。

 そして,破産管財人は中立公平な立場ですから,自分で依頼した弁護士とは立場が違います。そのような破産管財人が選任された場合,申し立てた本人にも直接聞き取りなどがなされますので,破産手続に対する時間や労力が増えることも意味します。破産法上,申立人には説明義務などがありますので,破産管財人の調査には協力する必要があります。

なお,裁判所に納める予納金は,管財人の報酬に充てられます。

 

破産管財人が選任されないようにできるか

 以上のことからすると,破産管財人が選任されない方が申立人には都合が良いかもしれませんが,これは裁判所の判断ですので,選任を防ぐことはできません。

 ただ,元々破産管財人が不要な破産申立でも,申立ての中身に不明な点があったり,嘘があったりすると,破産管財人が選任されます。

 ですので,そのようなことがないよう,弁護士を依頼して破産申立を行う場合でも,依頼した弁護士にしっかりと説明し,資料収集を行うなど,できる限り真面目に取り組みましょう。

 

 

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