当事者同士で合意をした後に,法律のルールが違うことを知って,合意を取りやめたいと思う場合もあると思います。

 例えば,離婚の際の取り決めや相続での取り決めなどで,法律のルールとは違う合意をした場合などです。

 では,この場合に,合意を覆すことはできるのでしょうか。

 

そもそも法律と異なる合意は有効なのか

 そもそもの話として,法律と外れる合意は法的に有効なのでしょうか。

 この点,実は法律の条項ごとに結論は異なり,強行法規といういわば法律で最低限のルール決めをしている場合の法律に反する場合は,合意は無効になり,任意規定という合意がない場合にのみ効果を発揮する法律に関しては,合意が優先するので,合意が有効になります。

 例えば,労働基準法のような最低限のルールとして,週の勤務時間の上限などが決まっている場合に,その法律に反して勤務時間を個別の合意で超過させることはできません。この場合,合意は法的に無効になり,強制的に法律の基準で合意したことになります。

 他方で,離婚の財産分与や慰謝料,相続の遺産分割協議などは,合意が優先しますので,合意があればその合意が有効になります。

 

強行法規に反する場合は合意を覆す必要すらない

 したがって,強行法規に反する場合には,合意を覆すなどの行為すら不要で,自動的に法律の基準での契約内容になります。

 

任意規定に反する場合は

 これに対し,任意規定に反する場合には,合意は有効ですので,自動的に法律の基準にはなりません。

 また,法律の基準を知らなかったということは,法的に錯誤などにはあたらないので,そのような理由で合意をくつがえすことはできません。

 例外的に合意の前提とした事実に錯誤(勘違い)がある場合には,合意を取り消すことができます。

 

 以上のとおり,任意規定に関し,合意をくつがえせるのは例外的な場合ですので,合意や契約は慎重に行ってください。

 

 

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